フランスに外国人として滞在する その4 フランス人の配偶者になる

目次

フランス国籍の持ち主との婚姻でフランスの長期滞在許可は可能

『外国人としてフランスに滞在する』の第4回目はフランス国籍を持っている人の配偶者の場合です。市役所(または区役所)での正式な結婚式の後は手続きのための待機期間はあるものの長期滞在許可証がもらえます。

ただし、状況によって必要な手続きはかなり違ってきます。大きく分けて2つになるかと思います。

a.フランスの長期滞在許可証が無い場合

b.既にフランスに長期滞在している場合


*この記事ではフランスで結婚後、フランスに居住する場合を想定しています。日本でフランス国籍の人と結婚する方法については触れていません。日本での外国籍の人との結婚についてはネット検索してみるといろいろな行政書士事務所のサイトで手続き案内や代行をされていますので相談してみてもいいでしょう。

a.フランスの長期滞在許可証が無い場合

この場合例えば、

  • 自分が日本または第三国に住んでいて、相手のフランス国籍者がフランス居住
  • 自分も相手のフランス国籍者も第三国に滞在中、しかし相手の両親(または片親)はフランスに居住
  • 自分はワーホリビザでフランスに滞在していて、相手のフランス国籍者もフランス在住

の状況が考えられます。この他にもあるかもしれませんが割愛します。

そして、婚姻後はフランスに居住するので役所での結婚式は相手が住んでいる街、または便宜上フランスの相手の両親の地元の市役所でする予定で、役所に提出する必要書類を集め始めた状態とします。

日本人の方は結婚式とその後居住するために渡仏するのですが、最後のワーホリの場合を除いてビザも滞在許可証もありません。
しかし一応日本のパスポートでは90日までの滞在ならビザ無しで可能です。2022年の年末以降の渡仏でも、ETIAS申請さえしておけばわざわざビザを取る必要はありません。
フランスの市役所から受付可の回答が来て式の日取りが提示・合意されればそのままパスポートと航空券でフランスに行って式を挙げることは可能でしょう。

相談者Aさん

それで、結婚式の後、そのまま滞在許可証の申請手続きができるでしょうか? 
フランス人の配偶者が記載された戸籍が必要なら実家に頼んで送ってもらいます。
日本に戻って配偶者ビザを申請するなんて、また高額な航空券を買う必要があるので避けたいです。

SAKURA

残念ながらそれはできません。

配偶者としてフランスに滞在する許可の申請をするためには、現行のきまりでは
フランスで6ヶ月間実質同居している必要がある
という条件があるのです。

昔はそんな条件はありませんでしたが、現在ではそう決められています。

ですから、90日までの短期滞在が可能なパスポートでは6ヶ月の期間を満たせないのです。

Vous êtes entré en France avec un visa de court séjour

La carte de séjour “vie privée et familiale” peut exceptionnellement vous être délivrée si vous remplissez les conditions suivantes :

– vous ne vivez pas en état de polygamie,

– vous êtes marié en France avec un ressortissant français avec lequel vous justifiez d’une vie commune et effective de 6 mois en France.

https://www.justice.fr/printpdf/76209

日本のパスポートでは90日まではビザを申請する必要なく入国できるのですが、それは旅行者としての話で、長期滞在延長に切り替えることが可能なビザ無しではそれ以上滞在延長できません。

そのために日本(あるいは第三国)でビザを取得してから渡仏する必要があります。

ビザの種類ですが、入国した後に結婚する訳ですから配偶者としてのビザはもらえません。学生ビザは学校に通うという証拠に学校への登録が必要ですのでこの場合難しいです。(なんらかの学校に、ある程度長期で通うことも渡仏後の予定にあるなら別)

また、フランスにはアメリカのK1ビザのような婚約者ビザはありません

SAKURA

この場合、現在の制度で使えるのはビジタービザです。これなら生活費をカバーするための費用の証明となる銀行残高証明書などを用意すれば取得は可能です。

ビジタービザ(念のため期間は1年ぐらいあった方がいいでしょう)で入国した後に、役所で正式に結婚式を挙げ少なくとも6ヶ月以上経ってから配偶者としてのVPF(Vie privée et familiale)滞在許可証への変更を申請することになります。
この際の提出書類には同居を証明するために考えつく限りの書類を集めておくことが良い結果を導くでしょう。アパートの契約書(連名で)、銀行に連名の共同口座がある証明(残高証明等)、EDF電気料金の連名契約証明書(EDFサイトで取得可)、それから一緒に旅行に行ったときのチケットやホテルの予約書類も提出した方が良いようです。

さらに、結婚後、日本大使館(領事館)に届けを提出して日本の戸籍を新しいものにして、フランス人配偶者が記載された新しい戸籍謄本を実家や信頼の置ける人に依頼して取得、それにアポスティーユを添付の上、フランスまで送付してもらいそれを法定翻訳する必要があります。

ワーホリビザで既にフランスに滞在中、またはこれからワーホリとして渡航した後に長期滞在許可証の申請はできないのでしょうか?

SAKURA

それはできません。ワーホリビザは更新も滞在身分変更もできないビザで、有効期限が切れる前に帰国する必要があるからです。

ワーホリで長期滞在しているなら、「そのまま滞在身分を変更すれば?」と思ってしまいがちですが、ワーホリビザは一度限りの取得だし、いわば別モノなんですよね。

b.フランスに既に正規に長期滞在している場合

この場合考えられるのは、

  • 学生の長期滞在許可証を持っていて、後少なくとも半年以上有効。または今後学業を続ける前提での更新が確実に可能。(私は更新が却下されて帰国した人も見て知っています)
  • 既にフランスの企業に雇用されて長期で勤務中。
  • 既にフランスで起業して個人事業主または企業として営業中。
  • 家庭の事情で家族ごとフランスに長期に滞在、既に有効な長期滞在許可証を持っている。

最初のケース以外はあまりないとは思いますが、とにかく既に長期に滞在中で更新も可能な滞在許可証がある場合、次の更新時に滞在許可証のステイタス変更の申請を行うと配偶者としてのVPF滞在許可証にすることができます。既にフランスに長期滞在しているので、もし6ヶ月以上の同居を証明する書類があれば正式な結婚式からの期間が半年に満たなくても大丈夫な可能性があります。(これはそれぞれの管轄の役所(プレフェクチュア)の判断になるので一概に断定できません。)


ただ、既に自力で取ったフランスで労働可能な長期滞在許可証(10年、あるいは複数年有効の滞在許可証)を持っている人はすぐには変更しないでも問題はありませんし、面倒なのでやらない人もあるかと思います。SAKURAと同じ会社に居た人で、フランスで長く働いていて10年カードを持つ人が仏国籍の人と結婚したのですが、何年か後にこの10年カード更新のため、会社に在職証明書を依頼していました・・・(配偶者ステイタスとしての更新ならこれは不要です)。


アメリカのように婚約者ビザというものが無いので結構大変ですね。

私は20年ほど前、ビザの手続きもよくわからないし、今のように情報がすぐ手に入らなかったので勇気を出して相談に行った大使館では対応がなんとも意地悪で結局よくわからなかったし(その時窓口には日本人はいなかったので日本語対応はゼロ)、残高証明といってもいくら積めばいいのか不明で途方に暮れる一歩手前だったのですが、式を挙げる予定のフランスの区役所の人(でもプレフェクチュアではありません、普通の区役所です)が「旅行ビザの3ヶ月以内に手続きすれば問題無い」と言っていたようなので(確認情報では無い)、なんと恐ろしいことにパスポートだけで渡仏しました。そしてあと半月で90日になる頃に滞在許可証の申請の面談予約を取りにプレフェクチュアに行ったら1ヶ月半後の日付での予約が取れました。これは上に書いた『6ヶ月ルール』など無かった頃だったからセーフだったんだと今になって思います。
(・・・そこから10年有効のカードがもらえるまで、後引っ越してたまたま住んだところの管轄のプレフェクチュアが意地悪だったせいで紆余曲折があったのですけどね・・。)

そういえば2000年以前に10年滞在許可証カードをもらった人は、チェックのための夫婦同伴面接では旦那さんがスポークスマンでご本人はなんと仏語は一言も発さないで結婚僅か1年後に10年カードをもらったそうです。
*今は10年カードの発行にはヨーロッパ言語共通参照枠のA2レベルの仏語力が要求されるようになっていますね・・・。

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