2025年になりました。月日が経つのは早いものですが、今日は昔運営していたブログの記事で、一昔前のパリ郊外での滞在許可証更新の様子をご紹介します。
今はネットで予約をするシステムですが、当時はまだまだ書類を提出するにも朝から並んで早い者勝ちという方式でした。このように物理的に並ぶために朝早く県庁に行くのは寒い季節など結構大変でした。ネット予約も空きを見つけるのが大変ですが、とにかく家に居て出来るのでこれは絶対に楽ですよ。最近渡仏してきた方たちはネット予約しか体験されていないので、昔の状態をご見物ください。
ちなみにこれはパリ郊外でも滞在許可証を申請する外国人が少なめな県庁の支所(以下支庁)でのお話ですので、待ち時間とかは他の郊外とは比べ物にはなりません、ただ手続き的にはだいたい同じ手順だったはずです。
また、当時は車の登録証(Carte Grise)や運転免許も県庁の窓口で取り扱っていました。
往年の滞在許可証更新体験記 その1
10年ぶりのPréfecture(支庁)。滞在許可証が切れるのでまずはネットで現在の必要書類や手続きを調べた。今は格段に便利になってフランス政府のサイトで色々調べられるが、県庁によって言う事が違うのでやはり実際に窓口に行ったほうが確実かな、と5月に休みを取って窓口に質問に行った。
パリ郊外のここは県でも唯一地下鉄で行けるところ。10年ぶりで懐かしい(?)坂道を上がって(変わってはいなかった、当たり前といえば当たり前だけど)中に入るとクルマの登録や免許証がらみで来たフランス人とガイジンがうようよ居る。県庁という日本語の翻訳はどうもおかしい。やっぱり県警分署と言ったほうが合っている、制服警官が何人もいる時もあるし。
まず総合案内窓口に行って見た。見たところ性格が最高に悪そうな定年一歩前ぐらいの年のおばさんが居る。あまり話しかけたくないタイプだが勇気を出して「滞在許可の更新について。。。」と言いかけたらつっけんどんに
「そこのガイジン用の番号札を取りなさい!」と言われた。
『本当はそうしようかと思ったけど一応あなたがそこに<居る>のだからお尋ねしようかな、と聞いたのよ』と言いたくなるほど無愛想で恐ろしい対応、見たところ他に何をしているのでもなくただ座っているだけ、きっと定年までとの事でここにいるのだろう、およそ最新のIT機器など使えそうもない本当のオバハン。
ああ、公務員は気楽だよね。民間ならとっくに色々理由つけてリストラされている。・・・というか定年前のハラスメントでこんな仕事与えられてるのかも知れない。
さて気を取り直し番号札を持って順番待ち。そんなに待たされることもなくガイジン専門インフォメーションの窓口へ。
こちらは25~30歳ぐらいのお姉さんが居て、「居住許可証の更新」について聞きたいと言うと後ろの書類ラックから必要書類などを説明した紙を渡された・・・!!これってネットでダウンロードできるのと同じ内容!!まあいいけど。
サイトの説明では更新手続きは現在有効のものが切れる2ヶ月前から可能とあったのでせっかく来たからには具体的に何日から?と質問すると、あっさり2ヶ月前の日付を言われた。つまり2ヶ月と10日前とかに来ても「今度ね、」って受け付けてもらえないらしい。
そこで必要書類を揃え、2ヶ月前をひたすら待った・・・。
往年の滞在許可証更新体験記 その2
現滞在許可が切れるちょうど2ヶ月前。ツール・ド・フランスたけなわのある夏の日のこと。
10年前に比べてやはり移民ガイジンの数も増えているだろうから朝早めに行った方がいいと9時の開館30分以上前に到着。
ここは同じ県内でも唯一地下鉄で行けるプレフェクチュアの支所(支庁)。
9時少し前ごろの列。他のところのように殺気だった感じは無くみんなおとなしく待っている。まるで日本でなにかの待ち行列を見てるみたい。
なんだか拍子抜けしてしまうほど人数は多くない。多めに見て30人弱。
一応来た順番にそこに置いてある紙に名前を書いておくことになっていたがドアが開いてみるとそんなのがあっても無くても対して違いはないことに気付いた。とにかくここは来場者が少ない・・・。
これは10年前に来た時とほぼ変わりは無い。
入り口のそばにお姉さんが立ってて矢継ぎ早に「はい、あなた何のために来たの」と質問、書類提出とか、出来た滞在許可受け取りとか、に分けて番号札の機械から順番番号を本人の代わりに引いて渡している。・・・きっと機械オンチが相当居ることを見込んでだろう。
片や別の男性職員が「9時に予約が有る人はこっちに来てください」とランデブーの用件があって来た人を案内。なんかシステマチックで職員の統率が取れている対応。
うーん、パリに来た際通った他の支庁ではこんなではなかった、そこは常に長蛇の列、遅く来たら10時半ごろには番号札の機械をシャットアウトされて門前払い、翌日出直すことになる。そしてさらに付け加えると、激辛の塩対応。(その支庁にはレセピセを更新するだけのために半休を取って何度も通ったけれども最終的にレセピセ状態のままで幕が切れ、引っ越しと共に今来ている支庁に変更になった。)
私の番が来て入口のお姉さんに「書類提出に来た」と言うと先日問い合わせの時行った総合インフォメーションの番号を渡された。
すると結構すぐに順番が来て(要するにそこでさらに細かく振り分けるだけだから)、前回来た時に窓口に居た見覚えのあるお姉さんから別の番号を渡され2階で待つようにと。
やれやれ、あの2階ね・・・。昔来た時と建物内部はまったく変わっていなく、懐かしいような・・・。
さすがにここでは若干待った。
1階からの吹き抜けになっているので何気に玄関の方を見下ろしていたら10時過ぎに来ても余裕で番号札引いてる人が居た、結局ゆっくりめに来てもとにかくその日には受付てもらえるのである。
10時半ごろ番号が呼ばれ、該当番号の窓口に行き、受付の女性職員に「カルト・ド・レジデンスの更新です」と書類を見せながら言うと、
「それでは全書類を出して、えーと3年以上の期間フランスから出てない誓約文のところに日付が無いわね、」
「あっ、ここに同じもののコピーがあってそれには書いてます」
「そう、じゃ、これも頂戴ね」・・・・結局コピーとオリジナルの2枚を渡した。
そして必要書類の一覧に写真は4枚提出とあったが2枚だけ取って返してくれる。
「それではそこの機械に両手を乗っけて」
見ると窓口の横っちょに四角くて上にガラスが張ってあるちっちゃな機械がある。こんなの初めて。
「は?こうですか?」
「そうじゃなくて、もっとぴったり押し付けるのよ、ああ、もーダメだわね」
彼女はついに痺れを切らして窓口のある事務所内から外に出て来て直接ご教授いただいた。
「あなた日本人なのに最新のテクノロジーを使った機械には疎いのねえ」・・・などと冗談混じりの口調。 だってこんな機械があるなどとはまるで知らなかった、要するに現在は申請時に両手の指紋+手相にいたるまでの記録を取られるのである。
そういえば会社の同僚が総務に要請されて今の滞在許可証のコピーを渡していたのを見ると10年前より二周り以上も小さいクレジットカードサイズになっていて、さらにICチップが入っていた。なるほどそこにこの記録がインプットされるらしい。
なんとか両手の<撮影>が終わり、最後に許可証に載せるサインをした後、A5版の用紙に連絡先住所と電話番号メールアドレスを書くようにと要求されたがなぜか固定電話を書く場所は存在せず携帯番号だけを記入。
さて、終わり、ってことだけど、ブルーの紙のレセピセはもらえない。・・・・、って何なの?それに前回と同じで新しい許可証が出来たら手紙で連絡くれるのかな?と、「郵便で連絡がもらえるのですか?」と聞いてみた。
「いえいえ、携帯にSMS送るから。大体○月×日頃にね」
・・・そういう事、だから固定電話ではなく携帯番号を書かされたのね。今は郵便ではなくSMS。
経費と手間節減ということだろう。レセピセについては質問してみなかったがまだ2ヶ月有効の本カードがあるのだから、ということで窓口の女性に(なにせわざわざ表に出て来てご指導いただいたのだから)お礼を言ってそこを後にしたのだった。
帰りにクルマの登録窓口に来ているフランス人たちを見ると、さっきと同じ面々が1階の待合で座ってじっと待っている。
この人達よりも早く済んだ訳だった。
往年の滞在許可証更新体験記 その3
夏も過ぎ、そろそろ窓口の人が言っていた○月×日になる頃。
その日が来ても携帯にはSMSは入らない。○月×日は金曜、すぐ週末なので来るわけがないと初めから思っていたがなんとなくそわそわはする。フランスならではのアバウトないい加減さ。まあ今の許可証が切れる2、3日前に連絡くれればいいし、どうせ260ユーロ(注:当時の料金。今はどういう訳か値下げになっています)もする印紙を買わなければいけないはずだから、・・・もう、直前でもいいや、と思っていると次の週の火曜の
午後にSMSが。いやー、やっぱりほっとしたけど。これで一安心。
SMSのメッセージによると今のカードの有効期限が切れた翌日以降でないと受け取りはダメということなので早速その切れた翌日の午前中に行くことにした。
さすがに260ユーロの出費は痛く、取りに行く日の2日前にやっと自宅近隣のタバコのお店で購入。
旧許可証はきっと引き換えに渡すはず。で、名残り惜しいので改めて写真に残す。
こんな許可証だったのだよ、サイズが大きめでいかにもという風情がある。
いやはや、これをもらうまでの道のりが大変だった。↓
引き取り当日は先日の書類提出の時が頭にあったので悠々と9時15分過ぎに到着。
当然入り口の列は消滅、みんな中に入って待っているようなので受付の番号札発行機でガイジンのところを選ぶと、なんと<カード受け取り>という項目があったので、そこの番号札を引いた。番号とともに「2階でお待ちください」と案内が書いてある。
ああ、よく出来てるものだと感心しながらエレベーターで2階へ。
エレベータの出口のまん前は運転免許証の窓口でその日はたまたま集中して人が来たのか、かなりにぎわっていたのでそこをよけて廊下の奥のベンチで受け取りのためのパスポート類を出そうとしたら自分の番号が電光案内に表示され、あわてて16番窓口に。
窓口の係員は先日とは違う人。受け渡し専門のようでパスポートと旧許可証、印紙を出すと名前のABC順に分類して整理箱に入っている封筒を出して、(これが全て糊で封をされている)
名前を確認した後はさみで開封、受け取り書にサインをしてこれで終わり、
入館から受け取りまでおよそ5分、待ち時間は正味2分ほどだった。迅速すぎる。
パリや郊外県のそれでの体験談を聞くと1時間、2時間待ちとかはざらなのに、この支所はどうかすると日本の役所より速い。時間があったしもう来ることはないのだから、とゆっくり一階に降りて中を見渡すとクルマの登録証の窓口の傍に「当所のサービスと対応の早さはアンケートでも証明されています!」とクルマ登録利用者のアンケート結果がパーセンテージで示された張り紙が誇らしげに貼ってある。あれ、この支庁は民間会社の請け負い運営だった?とも思ってしまう。
・・・ここは、パリ郊外とは思えないほど手続きがスムーズで、職員の対応も
意地悪さが無く一部を除いてフレンドリー、冗談言って来る人もいたぐらい。秘かに他の人にもお勧めしたいがなにせ住所地が違うと管轄も違うし、通り1本先が市境で、市が違えば管轄が違うという事もある。そして管轄の支庁は自分では選べないので・・・。
さて、かなり時間が余り、せっかく午前休みを取ったのだからとパリの中心街に出て観光人気スポットをぶらぶらと散策。
マドレーヌ広場にてあの”B”といういわゆるガラス工芸のメーカーの店舗のひとつに遭遇した。
ウィンドーに飾ってあるアクセサリー、なんともイカサナイ代物に見える
が、値段を見ると結構なお値段でちょうど滞在許可証と同じ260ユーロだった・・・・。
★このマドレーヌ広場のお店はその翌年2015年に閉店されました。当時の滞在許可証と同じ値段だったのですが、これに遭遇したのもなにかの因縁だったのでしょうか。そして手数料(印紙代)が2021年頃に値下げになったようで現在は225ユーロ。このご時世、何でも値上がりしているのに不思議です。
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