症状が現れにくいシニア犬の心臓病と血管肉腫

我が愛犬はまだ10歳でしたが突然重病であることがわかり、2ヶ月の闘病後、ハロウィーンの夜突然旅立ってしまいました。

最後の1ヶ月はすっかり大人しくなり、悪性腫瘍のせいで元の体重の半分近くまでに痩せてしまったのでまるで<別の犬>になってしまっていました。

ウチの犬にはシニア犬によくある心臓病、続いて脾臓と心臓に巨大な腫瘍が発見されたのです。

ブログの更新が9月半ばから先日まで停止していたのもそのためです。

こんなことになったのも飼い主である私がまったく気づかない内に病気が深く進行してしまっていたこともあります。犬に対してなんとも可哀想な事になってしまったのですが、また今の獣医学では対処できない病をも持っていたという悪運もあり、まだまだ生きてくれると思っていたのに10歳で私の元から去って行ってしまいました。

この2ヶ月程は後悔と情報収集、そして病犬のケアの日々でした。

フランスにお住まいではなくても犬を飼っていられる人は多いと思います。病気についてはどこにお住まいであっても同じはずですので私の犬のケースが少しでも参考になり、病気予防または看病のお役に立てればと思い、闘病記の記事もアップしてゆこうと思いましたが、内容がかなりシリアスになってしまうのでもっと落ち着いた後に別ブログを立ててそこに記録することにします。

ここでは一般的なことをお伝えすることにします。私の犬のケースは
2つも重篤な病が同時発生したレアケースの内に入るのでは無いかとは思いますが、
個々の病についてこんなこともあるのだ、と言うことで読んでいただければと
思います。

目次

心臓病は初めは隠れている

犬も7、8歳をすぎるともう”中年”の域になります。大型犬ではもう少し早いですが。
人間と同じように年とともに落ち着いて来きます。子犬の様にはしょっちゅう遊んだりはしませんね。

そしてやはり老化が進行していきますが、特に小型犬の場合は心臓を悪くすることがかなり多いのです。初めは何にも症状はありません。犬や動物は少しぐらい体調が悪くても何も言いませんので人間ならちょっとおかしいなと言うところを我慢して乗り切ってしまいます。そしてどうにも隠しきれなくなった時に初めて飼い主の目に見える形での病気が発見されるのですがその頃には相当病状が進行している場合がほとんどです。
そして心臓病は退行は無く進行するしかないので<いかに病気の進行を遅くするか>という事にかかって来ます。

何も症状が無くても8歳をすぎる頃から年一度は心臓(出来ればお腹も)のエコー検査を受けることをお勧めします。
機械を用いた検査では触診等では見落とす初期の症状も見つけることが出来、無理な運動を控えたり場合によっては服薬を開始したりと早期に対処できます。
早めに発見してきちんとケアしていれば長生きするワンちゃんも多いかと思います。

ウチの犬は8歳ごろから散歩でも坂を登るコースは歩かずにおすわりをして嫌がる様になりました。
ただ、ウチの場合は犬の性格が頑固なのでこんなことは子犬の頃からしょっちゅう有り、不審感を持てなかったのと、動かないのは椎間板ヘルニアの症状だと自分たちの中に擦り込みがあったせいで足腰には何の問題は無かったため、ただひたすらワガママのせいだと思い込んでいましたが、病気が発覚してからおそらくその頃から心臓が少しづつ悪くなっていっていたはずだと気づきました。これが従順な犬だったら、あるいは椎間板ヘルニアになりにくい犬種だったら歩かないことを不思議に思っていたかもしれませんが。

小型犬の心臓トラブルはほとんどが僧帽弁閉鎖不全症(ウチの犬もこれでした)ですが早めに発見して適切な処置(無理な運動や暑さ寒さを避ける、投薬など)をすれば、結構な期間何事も無く長生き出来ます。特にエスカレートして肺に水がたまらないように(肺水腫にならないように)ある程度進行した段階で利尿薬を適切に使っていくことです。

街の獣医にも時にはヤブ医者やいい加減な獣医もいます、聴診器をちらっといい加減に当てただけでは見逃されることもあるので、予防注射のついでの検診での何でも無いという言葉に安心せず可能な限りエコー等の機器で客観的にチェック出来る設備のある病院でセカンドオピニオンを取っていただくといいのです。ウチの場合予防接種時の触診・問診の所見を信じた結果発見が遅れましたので偉そうなことは言えませんが同じ様なワンちゃんが増えないためにも是非機器での検査をお願いして見て下さい。

私は個人開業獣医の言う事を信じて既に利尿薬が必要なレベルであったのに不足した投薬をしていたために肺に水がたまるところまで行ってしまいました。ただ、
心臓病だけならこの後適切なケアをしていれば静かに余生を送れたはずなのですが、肺水腫で担ぎ込まれた別の大きなクリニックでのエコー検診の結果不治の病が見つかり、余命宣告されてしまったのです。

もしかしてウチの犬の肺水腫は僧帽弁閉鎖不全症のせいでは無く心臓の(あるいは肺への転移も始まっていたかも知れないです)腫瘍によるものかも知れなかったのですが、どちらであったかの決め手はありません。心臓の腫瘍一般についてはこちらに少し解説してあります。

犬に頻発する悪性腫瘍<血管肉腫>

犬にも悪性腫瘍(ガン)が出来ることはかなり多いのですが腫瘍の種類によっては寛解出来るケースもあるようです。

ただ、最初から怖い事を申し上げてしまうのですが我が愛犬にもできてしまった悪性腫瘍、血管肉腫は見つかった場合ほぼ余命宣告、それも非常に短い余命です。

あまり大きな声では語られていないので血管肉腫については初めて目にする人も多いと思います。私も自分の犬が宣告を受けるまで全く知りませんでした。

ただ、今考えると発覚の半年~3ヶ月程前から家にいる時はあまりバタバタ動かず寝ている事が多くなっていました。それでもご飯や食べ物、散歩だという時には若い頃と同じく動き回っていたので余り気にもしていませんでした。
全て年を取ったから落ち着いて来たとの思い込みでした。

前記の心臓病も含めてシニア犬になると病気持ちになることもやはり多いのですが、余り動かなくなったな、というのも病気のサインの一つなのですね。年を取って活動量が落ちたと思いがちですが、こんなところで見逃してしまうこともかなり多いはずです。

この腫瘍は若い犬には少なく、頻発年齢は8~12歳前後で中高年になってから発生するケースが多くそして非常に進行が早い腫瘍です。英語版ウィキペディアの解説

これは血管の内皮細胞より発生する悪性腫瘍です。血管種及び肉腫として発生し、内臓の血管が多く集まる臓器または皮膚(皮下組織)に出来る腫瘍ですが、皮膚にできた場合は容易に手術で除去が可能ですので、皮膚だけに収まっている場合はその都度除去すれば転移してもかなりの期間生きることが出来ます。
しかし皮膚だけでとどまることは殆ど無く、血管が通っている全身の組織にも発生するので肺・肝臓・心臓・大網膜・筋肉、時には脳にまで転移します。
稀ですが骨・中枢神経・鼻腔・口腔・膀胱等にも発生する事があります。
血管の細胞が豹変して悪性腫瘍になり、血管と血液を通して僅かな期間に他の臓器へと広がるのです。血管のあるところなら何処へでも転移するのです。

 

そしてこの肉腫自体は余り痛みを与えない様ですので、かなり進行してからで無いと症状は出ません。また他の疾病の検査で偶然見つかる事も多いのです。血管肉腫ですのでつまりは病変した血管が大きくなって出来た腫瘍なのです。そして少しのショックで肉腫が破れ元々血液ばかりで出来ているので体内で出血を起こし、貧血になったり、出血のショックで倒れたりします。

ただ最初に出来たところが脾臓等取り除ける場所なら出来かけた時に偶然発見出来れば手術で取り除け、しばらくは転移しません。

極々稀な場合ですが、腫瘍とその周辺の異形成物質をうまく取り除くことが出来た場合、その後免疫力強化をすることで何年も転移なしで過ごせた例もあります。

しかしこれはもう本当に運が良過ぎたケースです。あるいは検査機関での生検検査がまさかの判定ミスで他の腫瘍であったかも知れません。もともと症状が出たり他所に転移する前に発見出来た事自体が幸運だった例ですので寛解の参考例には出来ません。
獣医向け学術報告なども多々見ましたが全て予後はネガティブな結果に終わっています。

殆ど犬にしかみられない腫瘍ですが、この腫瘍に対する治療法が未だ1980年から90年代のものに留まっているのもヒトでの発症例が極少ないために研究が進展していないせいであるようです。

ちなみにこの腫瘍は血液検査や吸引細胞診や針生検では確定診断は出せません。
脾臓摘出などでの開腹手術時に取り除いた腫瘍を生検に出すしか確定診断の道はありません。
ウチの場合も針生検では癌性では無い、と言われましたが何度も症例を見ている獣医にはっきりと血管肉腫であると告げられました。

たちの悪いことに外から触れにくい内蔵に出来てしまった場合は見えませんし、特にこれと言った症状も無いので本当に早期発見は困難です、最短で発見された日を入れて3日で亡くなったワンちゃんのお話も目にしました。

ですからもしこの病気が発見されたらいかに最期の日までいかに生活の質を上げていくかという事しか無いのですが突然の宣告にこれが現実とは信じることは出来ないのです、ウチの犬はもっと生きるはず、と思ってしまうのも無理はありません・・・・。
私も愚かですがそのうちの1人でした。

純血種の犬は本当に必要??

この腫瘍は犬種によって頻発犬種があると一般に言われているようですが、私は犬種で限るのは間違っているとは思います。”頻発犬種”のゴールデン・レトリバーやジャーマン・シェパードだけでは無くコーギーやシーズー、ウチの様にダックスフンドなどの例もあります。

ただ、雑種ではなく純血種の犬、それも美しい犬に多いような気がします。何か情報をと色々探す内にこの病気にかかってしまった愛犬の闘病ブログのいくつかにもお邪魔したのですが、それぞれのワンちゃんの写真を見ると本当に天使の様にきれいなコが多く、さらに悲しくなりました。

まだ決定的に断言されていませんが、2015年に発表されたアメリカの研究者の調査結果によるとおそらく遺伝性の要因による可能性が非常に高いとの結果が出ていました。
ちなみにこの腫瘍は犬には頻発しますが、猫やヒトのケースは本当に稀です。このことからも犬のDNAを介した遺伝性の疾患であるとの推測が可能です。

考えるに乱繁殖等の一つの結果ではないのでしょうか。上記アメリカの研究では調査対象のゴールデン・レトリバーにおいて種オスがかなりの数のブリーダーで使い回しされていたそうです。

要するに、ビジネスで犬を繁殖させている結果、見栄えや頭のいいオスがハーレム状態で用いられるのですね。同じ品種、それも純血種に限定した掛け合わせなので先祖のどこかで血が繋がっている犬同士がそれと知らず交配させられてしまうことも出てくる可能性も無きにしもありません。

そしてブリーダーの種オスや繁殖メスが老年期に差し掛かった時に健康でいたかどうかはもう引退後、その多くは引退犬として他人に譲渡された等で、実態が表に出て来ない状態になっているので論じられてはいないはずなのです。
http://journals.plos.org/plosgenetics/article?id=10.1371/journal.pgen.1004922


ジャーマン・シェパードの例ですが見かけ重視での交配はこの様な悲惨な結果も生んでいます。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/21-9.php

毛色にこだわった『純血腫』交配がもたらした健康被害。2018/10/27追加

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/102500461/

かわいらしい外見を意図的に作ったら・・・。”デザイナー・ペット”の悲劇。2018/10/31追加

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/10/post-11207.php

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