今日はとあるネット上の銀行について。・・・とは言っても普通用の口座ではなくてわが商売用の口座です。
フランスではこの10年ほどの間にみるみるネットバンクが増えて、これまでのように物理的に銀行支店を持たない銀行に口座を開く人も多数います。一番の利点は口座維持手数料が安いこと、なかには完全無料というところもありますが、ほとんどが個人向けの一般普通口座、全部が全部micro(auto)-entrepreneurに門戸を開いている訳ではありません。
micro(auto)-entrepreneurに必要なのは、送金・クレジット&お金引き出し両用カード・入金(あるいは小切手サービスも?)に加えて、社会保険料の引き落としや税金支払などが可能な口座、です。
私はそんなに費用をかけられないのでやっぱりできるだけ安く使えるところは無いものかと探しまくっています。先日、起業登録した記事にも少し書きましたが、2月末に
とかいう外国銀行を見つけていたので3月半ば、「そうだ、そろそろここに口座を開こう」と思い立ちました。
N26・・・口座開設手続きにギブアップ
それはN26というドイツ発の”ネオバンク”。外国の銀行で口座番号体系は外国のものだし、携帯アプリだけのサポートということでなんとなく不安でしたが、安いので仕方ないと口座を開くことにしたのです。
まずPCのHPにアクセスして携帯番号、名前、住所、メールアドレスを入力しました。
その次に<認証>を行うのですが、
「明るい場所でパスポートを用意し、携帯にアップしたアプリをパスワードで開くこと」
と指示されています。
YouTubeにあったN26の登録時説明動画でオンラインビデオでの本人確認⇒承認の手順を見て、携帯ビデオ画面でライブに会話して本人確認+本人のIDの送信だな、と考えていました。動画は可愛い女の子でスイス人らしくスイスのIDカードを使ってました。これは今考えるとイメージ動画止まりですわ。
そして簡単そうで、すぐ終わる、とも言われていたので軽く、
「天気がいい日に窓際でアプリにアクセスすればOKね」
と思ってました。*要するに採光がいいので思い通りの画質が撮れるからだそうで・・・。
はい、それで、お天気のいい日に窓際でアプリにアクセス。
・・・・と、ビデオ画面に出てきたのは強面のねーサン。それでフランス語でしゃべるんですが、やたら巻き舌で何言ってるのかよく聞き取れない。ネイティブフランス人ならきっとそれでも理解できるとは思いますが、こちらは外人なのでイレギュラーなしゃべり方は難しいんですわ・・・。
例えば私たちは外国人が日本語でしゃべることは発音やイントネーションがかなり変でも大体何言ってるか推測できますよね?それと同じことです。
という事で、よくわからないので何を指示されたのかわからずまごまごしていると、彼女キレましたね、即。
その後は
「顔を画面の真ん中に持ってこい」
とか
「パスポートを出して携帯のカメラにちゃんと写るように置け」
だとか、もう鬼女です。なぜかパスポートのホログラムを鮮明に取りたがっていたのですが、それっていったい何になるの、って疑問なんです。ドイツの法律で決められてるからなのでしょうか?外国に進出して口座開設者を増やすなら、そのへんはきちんと申し込みHPに書いておいてほしいですね、
IDカード類と住所証明の電気や電話料金の請求書などを携帯で写真に取るか、コピーしてアップロードして送ればOKじゃないの? なんでこの場で顔写真まで撮られるんだ??? わからないことだらけ。
それやこれで10分ぐらいも携帯を持ってパスポートを床に敷いて・・・。でもうまく録画が映ってないのか、もうねーサン荒れ狂うこと。フランス語わからんと思われて英語に切り替えてしゃべられてもなんだか怒られているみたい(ホント怒られてるんですよね)、疲れきりました。もしかして私がアジア女だから差別?
・・・あれれ、その時携帯の操作を誤ってアプリが閉じてしまい終了。
何~?これ?またアプリ開くの??これで登録できたのかしらん???
しょうがないからもう一度パスワードを入力してアプリ再開。
今度はいかにも真面目そうな若い男性が出てきたのですが、
「さっき女の人とやり取りしてビデオ撮ったばかりなんですけど」
「ああ・・・、彼女はうまく保存できなかったようです。もう一度行うしかないですね・・・」
もうこっちがキレました。またいちからやり直し???私が返答しないので彼はアプリを打ち切りました。後で調べたN26についての評判コメントではカスタマーサポートのチャットも向こうからブチブチ切られるそうです。悪いコメントというのはわざわざコメント書き込む人の常でかなり盛ったコメントも多数あるのが普通なので、切られる理由は埒が明かないたった1人のユーザーに費やする時間がもったいないからでしょうけどね・・・。
それで、それっきり。
ネオバンクにご注意
その後、こんなID確認手続きなんて聞いてなかったのでこのドイツ発のネオバンクについてどんな評判があるのか調べてみました。
一般的にクレーマー顧客、自分の勘違いを相手のせいにして文句たらたら言い続けるというプロトタイプを別にしても、なるほどとうなずけるコメントも多数です。
そして私のように口座開設のID認証手続きについて何も情報が無くうまくゆかず途中で口座開設中止にした人も結構います。でもコメントを残したりする人は全体の一部なので相当数が”登録中止”してるのかもしれません。
さらにはこれは<Néobanque(ネオバンク)>、従来の銀行、さらにはネットバンクとは違い、新たに参入してきた形態の『銀行』です。
今は大銀行でも申し込めば無料でネットバンクとして使え、支店から遠くに引っ越してもネットで色々な処理をしたり担当と面会がしたければPCのカメラを使って画面上で会うことも時には可能です。しかしこれはネットバンクであってもネオバンクでは無いのです。
ネオバンクはもともと支店を持たずネット(主に携帯アプリ)で対応する銀行、新規に『銀行』業に参入してきたもの、または大銀行の傘下で開業した銀行です。携帯アプリでの操作が手軽だと言うことで(私は逆にセキュリティには問題あると考えていますが)最近は申し込む人が増えています。
口座維持費は無料または低料金。預金を預け、カードを発行して買い物や現金引き出しに利用できるのは『銀行』なのですが貯蓄口座や投資口座、ローン業務等はノータッチ。年々新しいネオバンクが新規参入してくるのですが、100%信用できるところとそうでないところがあります。
さてさてこのN26バンク、公式発表では50万人口座開設、ヨーロッパでは200万人・・・ということですが、 聞くところによると資本金は25000 €だそうです。これについてはちょっと信じられないにしても、フランスでの住所はここです。⬇ WeWork
パリ9区のきれいなシェアードオフィスですが、これってずばりmicro(auto)-entrepreneurクラスの起業家が集まって借りるところでしょう?フランス全土に展開するネオバンクの本拠地としたらあまりにもお粗末です。
そして恐ろしいことに<6千万人の消費者>という消費者団体に勝手に口座をブロックされて預金が出せない、口座を閉鎖希望したのに返事が無く入っているお金がそのまま、等の苦情が数限りなく寄せられているとのこと、また外国で使おうと思ったら使えず、後でお金が出金されたことになっていたのにそれについてのケアが無いとか、トラブル満載でした。
ああ、口座開かなくて良かった・・・。他にも隠れた費用とかがあって(最低9回のトランザクションを3ヶ月の間行わないと月2.90ユーロの口座維持料が引き落とされたたりします。完全無料とは厳密には言い難いです。)アヤシイ雰囲気、ドイツの銀行だからというのではなくもしもフランスの銀行であってもこんなのはご免ですわ。
また電話のコンタクト先も無いし、chatでのカスタマーサービスもいい加減、つながる先はドイツのようですがきっと担当も安い給料と過酷な労働環境の中で疲れ切っているのでしょうか。日本のような厳しい顧客対応チェックは無いでしょうからそれは効率重視で感じ悪くて当たり前でしょうね。
これは留学生で住所が決まらないので口座が開けない人とかが飛びつきそうな銀行です。現住所確認が無いのですから。(つまるところ、口座開設時にいい担当に当たってYouTubeの動画みたいに楽しく簡単に口座が開ければパスポートだけで口座が開けるのですよね)でも日本から送金して持ってきたお金がブロックされて使えなくならないとの保証はどこにも無いのです。やはり注意に越したことはありませんね。
信頼できる銀行が開設可能になったらこれを第一口座にして、N26はお財布代わりに使うなら大丈夫でしょう。
N26を解約するには・・・
すでにN26に口座を開き、どうも使いずらい、あるいはもう嫌だから、と解約を希望する人もいるはずです。
もちろん気に入っていれば何の問題も無いでしょう。
でも、とにかく解約したい
という場合は、このN26解約方法に従って手続きができるとのことです。
N26が言っているのでこの方法が正式のはず、すぐに解約できるかどうかは不明なので、思い立ったらすぐにでもアクションするのがいいでしょう。
売上10000ユーロ以下は専用口座不要!
こちらは2019年7月に更新した内容です
再度いろいろ調べたところ専用銀行口座は売上が年間10000ユーロ以下であれば開く必要が無く、もし超えても2年連続で10000ユーロを超えなければそのままでいいとのことで、当面は特に銀行口座は新しく作る必要はないそうです。これは2019年からの決まりごとですが、今年の始め頃に情報探した際には見つからなかったのですよね・・・。
URSSAFのmicro(auto)-entrepreneurのサイトにも書いてなかったと思います。(今見たら載ってるかも・・・・)というわけで広報もほとんどされていない、まったくフランスらしいやり方で頭に来ているのですが、とにかくそれじゃこのまま昔からあるINGの口座でまかないます。ここはある一定の条件さえ満たしておけば口座維持手数料も無し、いろんなオペレーションも無料!
でも、もちろんRecette de banque(銀行出納記録)だけは付けておきますけれど。
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